【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 そうやって気の合う仲間たちと切磋琢磨しあっていたら、騎士になって八年目、第七騎士団の団長に任命されてしまった。そしてこれに反対する者など誰もいない。
 第七騎士団の騎士らも、他の部署から偉そうな団長が来るよりは、なんちゃって貴族のラウルのほうが気の知れた仲だし、あげく、彼が情に厚く、世話好きなこともよく知っている。身体はひょろっとしているように見えるが、騎士服によって鍛えられた身体が隠されているだけ。どうやら着痩せする体型で、かつ整ったやさしげな顔立ちも相まって、女性からの人気も高い。まして第七騎士団といえば、人々にとって身近な騎士団としても知られている。
 だから王都の見回りに出れば、女性たちから黄色い声をかけられるだけでなく、必ず猫を拾ってくるとか、迷子になっていた子どもを連れてくるとか、歩けなくなっていた老婆をおんぶして目的地まで連れていったとか、そういった話もよく聞く。
 そんな彼の性格に頭を悩ませているのは、副団長のヒースだろう。
 人助けは素晴らしい。騎士の鑑だ。そう誰もが思っているし、ヒースだって人助けをするなとは言わない。
 ただ、やたらめったら猫を拾ってくるおかげで、第七騎士団の官舎の庭は、ちょっとした猫園になっている。ラウルが拾ってきた猫は、最終的にはしかるべき人にもらわれていくが、そこにいたるまでの間、猫たちは宿舎の庭で飼われていた。
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