【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 つまり、次のキスまでに二日空いた場合、性交渉をし続けなければラウルは死ぬ。
 さらにキスの相手は固定。誰彼かまわずキスしていいわけではない。固定された相手以外のキスでは、衝動は続いたまま。
 そして、その固定されたキスの相手がリネットなのだ。
 ヤゴル遺跡でこの呪いを受けたラウルが、解呪のために魔法院を訪れたのは二日前。彼は失いかけた理性をかき集めて、キスの相手はリネットがいいと指名した。その場にいたのが、リネットの他に既婚女性のブリタ、独身男性のエドガーとヒース。性愛の対象が異性でかつ常識的な感覚を備えていれば、消去法的にリネットになる。独身女性はリネットしかいなかったためだ。
 後腐れなく商売と割り切っているプロに頼む方法も提案したが、この場合のデメリットとしてはお金がかかることだろう。
 となればやはりリネットを選ぼうとするのは、彼の本能的に間違ってはいない。
 そしてリネット自身、彼の呪いの緩和のためにキスの相手に選ばれたことは、滅多にない機会だと思っている。何よりもリネットは、この魔法院で呪いを専門的に研究している。
 だからラウルがかけられた呪いが『毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪い』だと、症状からすぐに判断できたのだ。ただこの呪い、症状の緩和方法はわかっているが、完全なる解呪方法が解明されていないのが問題だった。
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