【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 ここは第七騎士団長を務めるラウルの部屋だと記憶している。がっしりとした腕がリネットの腰を包み、背中に伝わるぬくもりが彼の存在を確かに感じさせる。
 もぞもぞと身体の向きを変えると、目の前にラウルの美しい顔がある。
「お、おはようございます……」
「おはよう、リネット。口づけてもいいだろうか?」
 そのためにリネットはここにいるのだ。
 彼は、毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられている。ただの発情ではない。理性などすべてが失われ、獣と化すような激しい衝動だ。それを無理やり抑え込まれれば、発情のしすぎで死に至るという恐ろしい呪いである。
 それでもこの呪いは「おはようのキス」をすれば症状が緩和される。そのため、毎日「おはよう」と声をかけキスをすればいい。
 前回の「おはようのキス」からは一日以内に行えばいいので時間帯はいつでもいい。それを過ぎると次第に興奮状態に陥り、一日経てば目もうつろとなって理性を失いかける。その後すぐにキスをするか性交渉をしなければ命を失ってしまうが、性交渉は一回だけではすまない。とにかく次の「おはようのキス」をするまで、性交渉をし続ける必要がある。
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