【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「昨日、言うのを忘れていましたが。おはようのキスは、それほどしつこくやる必要はありません。唇と唇を合わせるだけでいいのです」
「そうなのか? 一昨日、君は濃厚にキスをすればいいと言っていなかったか?」
 興奮状態にあったというのに、あのときの言葉はきっちりと彼の耳に届いていたようだ。
「それは、相手が恋人とか奥様の場合です。私と団長さんの関係はそういうものではありませんよね? 呪いを受けた人とその呪いを治療する人。つまり患者と治療者。それだけの関係ですから、軽いキスで問題ありません。むしろ……」
 そこでリネットは太ももに当たる硬いものを意識する。
「朝から濃厚なキスをしたら、呪いが緩和されているのに、別の意味で元気になりませんか?」
「ああ、これは朝だから仕方ない。これくらいであれば問題ない。先ほどまでの勃ち具合と今はまったく違う」
「左様ですか……それではおやすみなさい……」
「おはようのキス」を終えたリネットは、二度寝のために毛布を肩まで引き上げた。
 昨日の朝、ラウルと初めて「おはようのキス」を交わした。だが、リネットは魔法院にある自分の部屋にいたのだ。
< 48 / 339 >

この作品をシェア

pagetop