【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 リネット自身は不摂生だとは思っていない。非常に効率的な生き方なのだ。
「だからこれから、毎朝きちっと食事をしなさい。一緒に食堂へ行く」
「ええ?」
 二度寝する気満々のリネットにとって、今から食事とか考えられない。
「いいか? 君が不摂生な生活をして倒れてしまったら、俺と毎日『おはようのキス』ができなくなるだろう? そうなれば俺は死んでしまう。つまり、君が健康で文化的な最低限度の生活を送ることで、俺の命が守られるというわけだ」
 彼の言うこともよくわかるし、理にかなっている。だがリネットとしては、今までと同じように自由に生きたい。
「君のせいで俺が死んでもいいのか? 俺が死んでしまえば、君は一生、自分を責めるだろう。君はそういう人間だからな。そうでなければ、俺のキスの相手など引き受けない」
「私が団長さんの相手を引き受けたのは、この呪いを調べるためです。深い意味はありません」
「動機がなんであろうがかまわない。だが、俺が死んでもいいのか?」
「そ、それは……」
 何度も「俺が死んでもいいのか?」と聞かれると、罪悪感がひしひしと生まれてくる。
 きっとこれが彼の作戦なのだろう。とうとうリネットは彼の圧に負けてしまった。
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