【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

3.

 朝から外に出たリネットの感想は、ただただ眩しい、である。
「うぅ……団長さん、私、溶けます。きっと私は、日に当たってはいけない人間なんです」
 引きこもり生活が長かったせいで、リネットは眩しさに目を細くして、ラウルを見上げる。
「あれ? 団長さん。今日は前髪がありますね」
 一昨日も昨日も、ラウルは銀色の髪をビシッと後ろに撫でつけていた。しかし今は、髪を整えていないせいか、自然と前髪が額にかかっていて、そこに眩しい朝の光が降り注ぐ。
「あ、そういえば服も……騎士服ではないんですね」
 リネットが指摘したように、ゆったりとした麻のシャツにトラウザーズという軽装だ。すらっとした体型にラフな服装は、騎士団長というよりも街の青年のような雰囲気だった。
「朝食前だからな」
「団長さんは、いつも朝起きたら、お外に出ているんですか?」
「そうだ。人間はこうやって日に当たることで、体内時計が初期化される。君のように不規則な生活を送っている人間には重要なことだ」
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