【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
6.
* * *
ラウルが執務室でいつものように書類に目を通していると、ヒースが追加の書類を手にしてやってきた。机の上にはすでに山のように書類が重ねられているというのに、ヒースの姿を目にしただけでもげんなりしてしまう。
「団長。こちら、例のヤゴル遺跡の報告書なのですが……」
ヤゴル遺跡と聞いて、ラウルは顔をしかめる。
「とりあえず、被害状況をまとめたものになります。それから団長のことは、負傷者という形で報告が必要かと思いまして……」
「そうだな。魔法師の治療を受けたと書いておけばいいか?」
「そうですね。さすがに呪いを受けて発情中とは書けないので」
事実をそのまま書けないときは、ぼかして書くしかない。
「魔法師たちも、俺が受けた呪いについては口止めしてくれているらしい」
「そりゃそうでしょ。呪われて体調を崩したとかならわかりますが……発情って……」
ヒースがラウルから顔を逸らして口元を押さえているのは、込み上げてくる笑いを堪えるためだろう。
ラウルは少しむっとして答える。
ラウルが執務室でいつものように書類に目を通していると、ヒースが追加の書類を手にしてやってきた。机の上にはすでに山のように書類が重ねられているというのに、ヒースの姿を目にしただけでもげんなりしてしまう。
「団長。こちら、例のヤゴル遺跡の報告書なのですが……」
ヤゴル遺跡と聞いて、ラウルは顔をしかめる。
「とりあえず、被害状況をまとめたものになります。それから団長のことは、負傷者という形で報告が必要かと思いまして……」
「そうだな。魔法師の治療を受けたと書いておけばいいか?」
「そうですね。さすがに呪いを受けて発情中とは書けないので」
事実をそのまま書けないときは、ぼかして書くしかない。
「魔法師たちも、俺が受けた呪いについては口止めしてくれているらしい」
「そりゃそうでしょ。呪われて体調を崩したとかならわかりますが……発情って……」
ヒースがラウルから顔を逸らして口元を押さえているのは、込み上げてくる笑いを堪えるためだろう。
ラウルは少しむっとして答える。