義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
 頭がくらりとして、壁に手をつく。
 律が部屋に入らないでと言ったのは、配信の機材があるから、触れられたくないからだって言っていた。──だけど、本当はそうじゃなくて、これを隠そうとしていた……?
 でも、それにしては部屋の壁に、こんな堂々と貼り出しているなんて。

(もしかして、他にもなにか隠してる……?)

 一旦冷静になり、次はデスクの引き出しをひとつずつ開けていく。
 筆記用具やアクセサリーケース……中段には書類の束。
 そして、一番下の引き出しの奥にあったのは数冊のファイルだった。
 
「これは……?」
 
 開いてみると、写真が整理されていた。どうやらアルバムのようだ。
 今度こそ、家族写真のようなものかと思い、微笑ましい気持ちでページをめくった。
 しかし、めくるごとに違和感が膨れ上がっていく。

「まさか……」
 
 ページをめくっても。めくっても。
 全部、私。
 別のアルバムを開く。

「これも!」

 最後の一冊も開く。

「──これも!?」
  
 中学の制服姿の私から始まり、高校、大学の頃まで。
 振り返った横顔。駅のホームで電車を待っているところ。
 そのほとんどは、カメラの方を向いていない。
 
「なに、これ……」

 そういえば、律は中学の時に写真部に入って、カメラを買ってもらっていた。
 私も家でよく撮ってもらっていたが、こんな、外で撮ってもらったものは知らない。
 これではまるで──隠し撮りだ。
 ショックのあまり手が震えて、アルバムが滑り落ちる。
  
 これ以上見てはいけないと思った時、不意にバランスを崩してしまい、手がデスクの上のマウスに触れた。
 ──カチ。
 小さな音とともに、スリープ状態だったモニターが一斉に明るくなる。
 三面に広がる映像を見て、私は思わず悲鳴を漏らしそうになった。

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