義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
「ああ、これかな……?」
管理人さんがマウスをクリックすると、防犯カメラの、今のアングルと変わらない廊下が映し出される。
そこへ、見慣れた後ろ姿が現れた。
彰人さんだ。
スマホを耳に当てながら、少し急足で廊下の奥へと歩いていく。
忙しい日も、疲れている日も、ずっと見てきた後ろ姿。
愛する人の懐かしい姿に、じわりと目頭が熱くなった。
奥の非常口の扉を押し開け、外へ出ていく。
音声はない。
画像も荒くて、顔の表情まではわからない。
私は画面に目を凝らした。特に変わった動きはしていない。
しばらく見ていたが、その後非常口の扉が開くことはなかった。
「……おかしな点は、特になさそう、だね……」
隣で映像を見つめていた律が、悔しそうに言った。
「彰人さんが扉に入る前はどうですか?」
「前?」
管理人さんが訝しげに顔をしかめる。
「念のため、確認しておきたいんです」
「姉さん……」
律が、真剣な顔をこちらに向ける。私の言いたいことがわかったようだ。
もし事故ではなく事件だったなら、彰人さんが非常口から出る前か、あるいは出た後。
どちらかに誰かが出入りする可能性がある。それを確認したかった。
管理人さんは、無言でデータを巻き戻す。
彰人さんが非常口から出る時間より、十分ほど前から再生する。
廊下を行き交う人々。コピーを抱えた事務員。書類を手に早足で歩く誰か。
どれも普通の動きに見えた。
「もっと前から……とか?」
律がポツリと呟く。
たしかに、死亡推定時刻は三時間くらいの幅があった。
その空白に、何かがあったのか。
管理人さんに操作方法を教えてもらい、自分たちで調べることにした。
管理人さんがマウスをクリックすると、防犯カメラの、今のアングルと変わらない廊下が映し出される。
そこへ、見慣れた後ろ姿が現れた。
彰人さんだ。
スマホを耳に当てながら、少し急足で廊下の奥へと歩いていく。
忙しい日も、疲れている日も、ずっと見てきた後ろ姿。
愛する人の懐かしい姿に、じわりと目頭が熱くなった。
奥の非常口の扉を押し開け、外へ出ていく。
音声はない。
画像も荒くて、顔の表情まではわからない。
私は画面に目を凝らした。特に変わった動きはしていない。
しばらく見ていたが、その後非常口の扉が開くことはなかった。
「……おかしな点は、特になさそう、だね……」
隣で映像を見つめていた律が、悔しそうに言った。
「彰人さんが扉に入る前はどうですか?」
「前?」
管理人さんが訝しげに顔をしかめる。
「念のため、確認しておきたいんです」
「姉さん……」
律が、真剣な顔をこちらに向ける。私の言いたいことがわかったようだ。
もし事故ではなく事件だったなら、彰人さんが非常口から出る前か、あるいは出た後。
どちらかに誰かが出入りする可能性がある。それを確認したかった。
管理人さんは、無言でデータを巻き戻す。
彰人さんが非常口から出る時間より、十分ほど前から再生する。
廊下を行き交う人々。コピーを抱えた事務員。書類を手に早足で歩く誰か。
どれも普通の動きに見えた。
「もっと前から……とか?」
律がポツリと呟く。
たしかに、死亡推定時刻は三時間くらいの幅があった。
その空白に、何かがあったのか。
管理人さんに操作方法を教えてもらい、自分たちで調べることにした。