義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
律の息が止まる気配がした。
これは脅しではない。本心だ。
もう、私には何もない。空虚が心を支配してしまう前に、すべてを終わらせてしまってもいい。けれど、ほんの少しの希望があるとしたら。
──律。
あなたが私に生きてほしいと願うなら。
それに縋ってみても、いいのかもしれない。
「……わかった」
律は、ゆっくりと近づいてきて。
少し小走りになって、私に追いついた途端、手を握る。
「言ってるそばから」
「姉さんが逃げないように、俺がつかまえてる」
律は目を潤ませながら、無理にでも笑おうとする。
触れたら死ぬと言ったのに。
それでも、律は手を離さなかった。
私も、振り払うことができなかった。
通りの向こうで、イルミネーションが淡く瞬いている。
誰かの幸せを祝う光が、私たちの影だけを長く引き延ばす。
どこへ向かっているのかはわからない。
けれど──
これは、私にとって新しい罰の、始まりなのかもしれない。
これは脅しではない。本心だ。
もう、私には何もない。空虚が心を支配してしまう前に、すべてを終わらせてしまってもいい。けれど、ほんの少しの希望があるとしたら。
──律。
あなたが私に生きてほしいと願うなら。
それに縋ってみても、いいのかもしれない。
「……わかった」
律は、ゆっくりと近づいてきて。
少し小走りになって、私に追いついた途端、手を握る。
「言ってるそばから」
「姉さんが逃げないように、俺がつかまえてる」
律は目を潤ませながら、無理にでも笑おうとする。
触れたら死ぬと言ったのに。
それでも、律は手を離さなかった。
私も、振り払うことができなかった。
通りの向こうで、イルミネーションが淡く瞬いている。
誰かの幸せを祝う光が、私たちの影だけを長く引き延ばす。
どこへ向かっているのかはわからない。
けれど──
これは、私にとって新しい罰の、始まりなのかもしれない。