嘘つきな天使
西園寺刑事さんが帰って行って、最初は残ったピザやら総菜に手を付ける気になれなかったけれど、今日は朝食以外何も食べてない。
ぐぅ……とお腹が小さくなり、慌ててお腹を押さえると
天真は「ははは!」と豪快に笑い
「食わなきゃ体力もたないぞ。これから鍛えるんだろ?だったら猶更」
う゛……そうだった……あの時は勢いで言っちゃったけど、天真って何かスパルタそうで怖いなー……
ピザや天真が用意してくれた総菜を少しずつ食べると、あまり味を感じなかったけど、胃が満たされたのか、色々あったのか急に眠気が……
筍の土佐煮を食べてると(てか誰のチョイスだろう。渋いなぁ)首がうつらうつらしてきた。
天真が目の前で頬杖を付きながら「食うか寝るかどっちかにしたら?」と呆れたように言ってきて
「寝るってどこで……」ちらりとダイニングから顔を出して寝室を見ると、そこには昨日天真と致してしまったベッドしかなくて……
「あそこしかないけど?」と天真はにやにや。
「わ、私!床に寝る!予備の布団ぐらいあるでしょ」と慌てると
「何?期待してるの?」とまたもニヤニヤ。
こいつ……今気づいたけれど私をからかってる?
天真を睨むと
「何もしねーって。さっきも言ったじゃん」と天真はどこまでも余裕顔。
う゛……ホントかな…
疑いの眼で天真を見上げると
「その気のない女を抱く程落ちぶれちゃいないっつーの」とでこぴんされた。
天真の言葉を信じてセミダブルサイズのベッドに二人して横になる。と、そこでまた問題発生。わ、私はどっちを見て寝ればいいの?
何となく向き合ってってのがキマヅくて天真に背を向けて布団の端をきゅっと握って眠ろうとするも、さっきはあんなに眠たかったのに、眠気どこへ行った?
緊張なのか全然寝れない。
「なぁ」
薄暗い部屋で天真が問いかけてきて、私は顔だけを振り向かせた。
「あ、やっぱ起きてた」と天真が微笑する。ズルいよ、そんな顔されると何も言えなくなっちゃうじゃん。
天真は私の体を優しく振り向かせると、私は天真と向き合う形になった。
顔、赤くなってないかな……思わず布団で顔を隠そうとすると天真の大きな手が私の頬に伸びてきた。
な、何……と構えていると天真は私の頬を包みながら
「痛かったよな。ごめんな、駆けつけるのが遅くなって」
と眉を寄せた。