天敵スズメバチ王と政略結婚しましたが、食べられそうなのは私の心です 〜溺れるのは蜜か毒か〜

(ハチも、「結婚飛行」で飛びながら
女王と男蜂が交わるけれど……
はたから見ると、あ、あんなにも……)


なんだか頬が熱くなった。


「ちょ、ちょっと……、蝶々さん……」
「はい…だいぶエロスですよね?」


ルーラがにやりと耳打ちする。


「ち、ちがいますっ!これは……し、
自然の摂理で……!」
「あははっ、王妃様……お顔が赤いですよっ」


カミリアは必死に視線を逸らすが、
あの艶やかな翅音と喘ぎが耳から離れない。

そのとき、背後から響く凛とした声。


「蝶は、美しいだけじゃない。
大胆で、甘やかで、そして……官能的だ」


振り返ると、アザレオが花にとまっていた。

かげりのないまなざしで、
結ばれたまま舞う蝶たちを見つめている。


「カミリア。おまえには、この景色を見てほしかった」
「……え、あのっ、それってどういう――」





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