MYSTIQUE
「スカウト⋯⋯?」
 信じられないと言わんばかりの表情で、一郎は青年のことを見上げる。
「少し、話す時間をくれないか?ところで⋯⋯君、いくつ?」
「16です」
「は!?ダメだろ!子供がこんなところに居たら⋯⋯犯罪に巻き込まれたらどうするんだ。全く⋯⋯来て!」
「何処に行くんですか⋯⋯!?」
「健全な場所だから、心配するな」

 美青年に手を引かれ、一郎が連れてこられたのは、ファミレスだった。
「遠慮せず、好きなものを好きなだけ食べなよ」
「でも⋯⋯」
「さっき、フラついてたろ?俺も腹減ってるし、一人で食べてたらおかしいから」
「そんな、申し訳な⋯⋯」
「だったら、俺が勝手に注文する。あ、すみません」
 横を通りかけたウェイトレスを呼び止め、青年は次々と注文していった。
 美青年が、一郎をじっと見つめても、一郎は、なかなか目を合わせようとしない。
「そんなに俺が怖い?」
「えっ?いいえ⋯⋯」
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