MYSTIQUE
 青年は、雑誌から顔を上げると、
「ああ。アイスでも食べるか?」
「え、そんな⋯⋯」
「よく、海外の映画に出てくるようなデカいやつ。俺一人じゃ流石に食べられないし、遠慮するなよ」
「ありがとうございます」
「熱い紅茶やコーヒーと冷たいアイスの組み合わせ、なかなかいいよ。試してごらん」
 一郎は、目の前の美青年に声をかけられてから、ずっと夢心地だった。
「あの、本荘さんは⋯⋯」
「本荘さんなんてやめてくれよ、新でいい。ああ、そういえば、まだ名前を聞いてなかったな」
 一郎は、恥ずかしそうに、
「⋯⋯鈴木です」
「鈴木?なんていうの?」
「一郎です⋯⋯」
 本荘新は、思わず吹き出した。
「ご⋯⋯ごめん。俺、子供の頃に野球やってたから、つい」
「野球のイチローと字は違います!朗らかの朗ではなく、野郎の郎ですから」
「はいはい。一郎くんも、熱い紅茶を飲みながらアイス食べなって」
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