ガラスの壁を越えて

第3章 嵐の予感

ある日、オフィスで大規模なトラブルが発生した。新システムのテスト中にデータ漏洩の疑いが浮上。社内はパニック状態になり、三人は徹夜で対応に追われた。晶菜は数字を検証し、晶乃はクライアントに連絡、晶来は社員のメンタルケアを担当した。
この危機が、意外な転機となった。休憩室で晶菜と晶乃が二人きりになった時、晶乃が疲れた顔で言った。「あきなさん、いつもありがとう。あなたがいなかったら、私パニックだったよ」晶菜は頰を赤らめ、初めて本音を少し漏らした。
「私も、あきのさんがいるから頑張れる」
だが、障壁はさらに複雑化。SNSで晶乃の過去の投稿が掘り起こされ、社内の噂が広がった。晶乃の元彼が有名人で、破局の理由が「価値観の違い」だったという記事。晶菜はそれを見て、自分との違いを痛感した。金銭的な悩みも。晶菜は奨学金返済で節約生活、晶乃は旅行好きで贅沢。将来のビジョンも違う。晶菜は安定を求め、晶乃は冒険を望む。
晶来はそんな中、晶菜に気づき始めた。
「あきな、あきののこと好きでしょ? 私、わかるよ」
晶来の言葉に、晶菜は動揺。オープンにできない事情が、友情さえ脅かす。
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