竜王の歌姫
決別
「カノン、足元に気をつけて」
「ありがとうございます」
ギルバートに差し出された手を取り、カノンは地下牢に続く階段へ足を踏み出した。
先頭を歩く護衛騎士の後に続いて、ゆっくりと先へ進んでいく。
目的は、地下牢に収監されたルーシーに会うことだった。
いまだにカノンへの呪詛を吐き続けているというルーシー。
カノンは、ルーシーともう一度会和なければならないと思っていた。
「ああなった人間を、君には会わせたくない」
ギルバートはそう難色を示していたが、カノンが頼み込むと「自分も同行するなら」
との条件付きで許可を得ることができたのだった。
そうしてたどり着いた牢の前。
(……これが……ルーシーなの……?)
檻の中にあったのは、変わり果てたルーシーの姿だった。
白髪頭になった髪はところどころ抜け落ちてまだらになり、身体中には深い皺が刻まれていた。
皮膚は土色で、げっそりと痩せ細ったその姿はどこからどう見ても老婆そのものだ。
かつて美しいと持て囃されたルーシーの面影はどこにもない。
丸まった背中で、呆けたように焦点の合わない視線を一点に向けている。
その目がギョロリとこちらに向いて、カノンたちの姿をとらえた。
その途端、ルーシーの目には憎悪が宿る。
「お、まえぇえ゛……!」
ルーシーは声までガラガラに枯れていた。
「ありがとうございます」
ギルバートに差し出された手を取り、カノンは地下牢に続く階段へ足を踏み出した。
先頭を歩く護衛騎士の後に続いて、ゆっくりと先へ進んでいく。
目的は、地下牢に収監されたルーシーに会うことだった。
いまだにカノンへの呪詛を吐き続けているというルーシー。
カノンは、ルーシーともう一度会和なければならないと思っていた。
「ああなった人間を、君には会わせたくない」
ギルバートはそう難色を示していたが、カノンが頼み込むと「自分も同行するなら」
との条件付きで許可を得ることができたのだった。
そうしてたどり着いた牢の前。
(……これが……ルーシーなの……?)
檻の中にあったのは、変わり果てたルーシーの姿だった。
白髪頭になった髪はところどころ抜け落ちてまだらになり、身体中には深い皺が刻まれていた。
皮膚は土色で、げっそりと痩せ細ったその姿はどこからどう見ても老婆そのものだ。
かつて美しいと持て囃されたルーシーの面影はどこにもない。
丸まった背中で、呆けたように焦点の合わない視線を一点に向けている。
その目がギョロリとこちらに向いて、カノンたちの姿をとらえた。
その途端、ルーシーの目には憎悪が宿る。
「お、まえぇえ゛……!」
ルーシーは声までガラガラに枯れていた。