竜王の歌姫
辺りもすっかり薄暗くなった頃。カノンは1人庭園の中に座り込んでいた。
冷たく冷えた土の上をまさぐる手のひらは、まっ黒く汚れている。
(ない……どこにもない)
街灯のほのかな光が照らす闇の中、どれだけ目を凝らしてみても、お目当てのものは見つからない。
それでも手を止めることなく探し続ける。
そんな時、城の方から漏れ聞こえてくる歌声にカノンは顔を上げた。
それはルーシーの歌声だった。
今夜は、新たな歌姫になろうというルーシーのお披露目パーティが開催されていた。
城の中には有力者をはじめ、アリサやユウミを含んだたくさんの人がパーティに参加していることだろう。
けれどカノンは、そのパーティに参加することはできなかった。
ルーシーが昼間にここで落としたのだというピアスを、今夜中に探し出すように命じられていたからだ。
この広く入り組んだ庭園で、しかも暗闇の中、なくし物を見つけろなんて到底無理な話だ。
これがルーシーの嫌がらせだということは分かっている。
それでもやらなければ、今度はどんな仕打ちを受けるのか。
甚振る理由を見つけた時の、ルーシーの残忍さだって、よく分かっていた。
だからカノンは、こうして地面を這いつくばって、あてもない捜索を続けるしかない。
冷たく冷えた土の上をまさぐる手のひらは、まっ黒く汚れている。
(ない……どこにもない)
街灯のほのかな光が照らす闇の中、どれだけ目を凝らしてみても、お目当てのものは見つからない。
それでも手を止めることなく探し続ける。
そんな時、城の方から漏れ聞こえてくる歌声にカノンは顔を上げた。
それはルーシーの歌声だった。
今夜は、新たな歌姫になろうというルーシーのお披露目パーティが開催されていた。
城の中には有力者をはじめ、アリサやユウミを含んだたくさんの人がパーティに参加していることだろう。
けれどカノンは、そのパーティに参加することはできなかった。
ルーシーが昼間にここで落としたのだというピアスを、今夜中に探し出すように命じられていたからだ。
この広く入り組んだ庭園で、しかも暗闇の中、なくし物を見つけろなんて到底無理な話だ。
これがルーシーの嫌がらせだということは分かっている。
それでもやらなければ、今度はどんな仕打ちを受けるのか。
甚振る理由を見つけた時の、ルーシーの残忍さだって、よく分かっていた。
だからカノンは、こうして地面を這いつくばって、あてもない捜索を続けるしかない。