竜王の歌姫
しかし、その嫌な予感は的中することになる。
突然、ルーシーがニアを自分の専属侍女として指名したのだ。
専属侍女は、常にルーシーのそばに控えて身の回りのお世話することになる。
今いる専属侍女は高位侍女の中から選ばれていたが、ルーシーたっての希望とあって
ニアはその日から専属侍女として働くようになった。

そして、ニアがルーシー付きとなってからしばらく経った頃。
久しぶりに顔を合わせたニアは、どこか顔色が悪いように見えた。

「……大丈夫だから」

ルーシーたちに、何かされているのではないか。
しかしニアは首を振るばかりで、何も言ってはくれなかった。

けれどやっぱり心配で、カノンは色々な人にニアのことを尋ねて回った。
そして、外見のことを侮辱されたり、熱い紅茶をかけられたり、無理難題を押し付けられたり。
ルーシーによって酷い目に合わされていることを知った。

あの日、仲の良いカノンたちの様子を意味ありげに見つめていたルーシー。
だからこそきっと、ルーシーはニアを標的に選んだ。

(……許せない)

自分だけでなく、大切に思う人まで傷つけられることに耐えられなかった。
カノンは、今夜にでもルーシーに抗議に行くことを決意する。
カノンの言うことをまともに聞き入れるとは思わないけれど、このまま何もしないよりはマシだ。
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