竜王の歌姫
「そんな気持ち悪い肌してるくせに、よく平気な顔で歩けるものよね」
「ちょっと、何とか言ったらどうなの?」
侍女長から頼まれた届け物のために中庭を横断していると、その先でアリサとユウミが2人でニアを取り囲んでいるのが見えた。カノンは慌てて駆け寄っていく。
「だから、その態度が気に食わないって言ってんのよ……!」
声を荒らげたユウミが片手を振り上げたのが見えて、カノンは咄嗟に両者の間に身体を滑り込ませた。
パン、と乾いた音が響いてから、頬に走る痛み。
「カノン……!」
珍しく焦ったようなニアの声が聞こえた。
カノンはニアを庇うように前に立ち、アリサとユウミをキッと睨みつける。
「な、何よ……その目。恥晒しのくせに生意気ね」
「そうよ。いつもみたいに、身の程を弁えて大人しくしてなさいよ」
大切に思う相手がこんな目にあっている。
(それなのに、引き下がるなんてあり得ない)
それでも一歩も引かないカノンに対し、苛ついたように顔を歪める2人。
馬鹿にしたように吐き捨てる。
「……っは、何?
そいつのこと庇って、やっすい友だちごっこでもしてるつもり?」
次にニアを見て、嘲笑うように言った。
「アンタもさぁ、ルーシー様の方につけばいい思いができたのに、それを断るなんて馬鹿みたい」
ルーシーは、専属侍女としたニアに自分の一派になるように持ちかけていたのだった。
歌姫の自分につけば、色々な優遇を受けられる。
その代わり、カノンと完全に縁を切ること。それが条件だった。
「ちょっと、何とか言ったらどうなの?」
侍女長から頼まれた届け物のために中庭を横断していると、その先でアリサとユウミが2人でニアを取り囲んでいるのが見えた。カノンは慌てて駆け寄っていく。
「だから、その態度が気に食わないって言ってんのよ……!」
声を荒らげたユウミが片手を振り上げたのが見えて、カノンは咄嗟に両者の間に身体を滑り込ませた。
パン、と乾いた音が響いてから、頬に走る痛み。
「カノン……!」
珍しく焦ったようなニアの声が聞こえた。
カノンはニアを庇うように前に立ち、アリサとユウミをキッと睨みつける。
「な、何よ……その目。恥晒しのくせに生意気ね」
「そうよ。いつもみたいに、身の程を弁えて大人しくしてなさいよ」
大切に思う相手がこんな目にあっている。
(それなのに、引き下がるなんてあり得ない)
それでも一歩も引かないカノンに対し、苛ついたように顔を歪める2人。
馬鹿にしたように吐き捨てる。
「……っは、何?
そいつのこと庇って、やっすい友だちごっこでもしてるつもり?」
次にニアを見て、嘲笑うように言った。
「アンタもさぁ、ルーシー様の方につけばいい思いができたのに、それを断るなんて馬鹿みたい」
ルーシーは、専属侍女としたニアに自分の一派になるように持ちかけていたのだった。
歌姫の自分につけば、色々な優遇を受けられる。
その代わり、カノンと完全に縁を切ること。それが条件だった。