竜王の歌姫
その後も進展のない毎日に、苛立ちが募っていく。
こんな時、いつもならどうしていたっけ。
思い浮かんだのはカノンの姿。
そうだ、こういう時のためにアイツがいる。
最近のカノンは、侍女たちの輪に溶け込んで上手いことやっているらしい。
実際に様子を見に行けば、ニアという侍女と親しげで、笑顔を見せていた。
それが、酷く癪に触った。
この私が不快な思いをしているというのに、カノンだけが楽しそうにしている。そんなの許せない。
カノンに味方なんていらない。
孤立させて、また不幸に落としてやる。
だからニアを強引に専属侍女にして、自分側につくよう命令した。
けれどそれも上手くいかなくて、それどころかアリサとユウミがヘマをしたせいで、これまでのことが明るみになってしまった。
馬舎送りになりたくないと泣きついてきたアリサとユウミのことは、早々に切り捨てた。
何でも言う事を聞く駒として便利だったからそばに置いていただけで、思い入れがある訳でもない。
約立たずと罵って追い出した後の、あの呆然とした顔は笑えた。
ルーシーへの罰は、ギルバート直々に伝えられた。
内容は与えられた部屋での数日間の謹慎。
たかが侍女の訴えで、自分にも罰が与えられたことには納得がいかなかった。
「ごめんなさい、ギル様……」
しかしギルバートからの心証を悪くする訳にはいかないから、しおらしく振舞って見せる。
こんな時、いつもならどうしていたっけ。
思い浮かんだのはカノンの姿。
そうだ、こういう時のためにアイツがいる。
最近のカノンは、侍女たちの輪に溶け込んで上手いことやっているらしい。
実際に様子を見に行けば、ニアという侍女と親しげで、笑顔を見せていた。
それが、酷く癪に触った。
この私が不快な思いをしているというのに、カノンだけが楽しそうにしている。そんなの許せない。
カノンに味方なんていらない。
孤立させて、また不幸に落としてやる。
だからニアを強引に専属侍女にして、自分側につくよう命令した。
けれどそれも上手くいかなくて、それどころかアリサとユウミがヘマをしたせいで、これまでのことが明るみになってしまった。
馬舎送りになりたくないと泣きついてきたアリサとユウミのことは、早々に切り捨てた。
何でも言う事を聞く駒として便利だったからそばに置いていただけで、思い入れがある訳でもない。
約立たずと罵って追い出した後の、あの呆然とした顔は笑えた。
ルーシーへの罰は、ギルバート直々に伝えられた。
内容は与えられた部屋での数日間の謹慎。
たかが侍女の訴えで、自分にも罰が与えられたことには納得がいかなかった。
「ごめんなさい、ギル様……」
しかしギルバートからの心証を悪くする訳にはいかないから、しおらしく振舞って見せる。