ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
3人ほどの修道女が、泣くじゃくっている若い娘の話を聞いていた。

「それではレスタ様に聞いてきますから、ちょっと待っていてくださいな」

一人の修道女が娘のそばを離れ、脇の古びた扉を開けたので、リアララも目くらましの姿のまま入ることに成功した。

ギィーーー

重い扉がきしんだ音を立てて閉じた。
そこは個人の礼拝堂。

奥に小さな祭壇がしつらえてあり、そこだけ天井がドーム状になっていて高い。

北向きの明り取りの窓から、淡い光が射しこむ。

リアララは音をたてないように、壁ぎわのカーテンの影に身を隠した。

祭壇のそばに、深緑のローブをまとった姫君が立っていた。

張り詰めた清冽な冷気、そこは誰も入ることを許されない深い常緑樹の森を思わせる。

「レスタ様、今来ている娘のことでご相談が・・・」

書類に視線が落ちていたが、
その顔がすぃっと上がり、黒に金と赤の糸が混じる髪が微かに揺れた。

肌は透明感のある白でうりざね顔、目鼻立ちは、ガラス細工のように繊細だ。

華やかさはないが、気品と優雅さを感じさせるたたずまいは、
王女ならではのものだろう。

あれは・・・なんだ?

リアララは目を細めて、レスタ姫の指先を目で追った。

動くたびに、金色の結晶のようなものが次々と空中に舞い散り、
それが砕けて淡い光を放っては消える。
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