ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
リアララ、意外な客人に苦戦する
客人がいるのは、このギルド宿屋の一番高級な宿泊室だった。
「リアララです。入室の許可をお願いします」
扉の前でノックをして、大声をだした。
魔術師は自分のプライベートエリアに、防衛結界を張るので、それを解いてもらわなければ入室することができない。
しかも時に、攻撃魔法が仕掛けられていることもある。
「入れ」
リアララはドア越しに聞こえた、くぐもった声を確認して慎重にドアノブをひねった。
「失礼します・・・」
窓際にフードを深くかぶり、枯れ葉色の長いマントをまとった長身の男が立っている。
肌の泡立つような違和感、いや何かの威圧だ。
室内の空気密度が違う。
すでに結界が解かれているはずなのに、強い魔力干渉で体の動きが緩慢になっている。
このまま攻撃されたらヤバイだろう。
逆光で顔が見えないが、こいつは相当強い力を持つ魔術師だ。
リアララは深呼吸して、ようやく口を開いた。
「お初にお目にかかります。私に御用があると聞き、参りました」
男はリアララを見ているが、逆光で表情が見えない。
「ヴァリエスタ・・君があのブルーノ・ヴァリエスタの息子なのか?」