ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
「はい・・・そうですが」

リアララは答えながら、心の中で舌打ちをした。

「ヴァリエスタ」を名乗ると、多くの魔術師たちが、恐怖の感情を露わにする。

リアララの父親、ブルーノは魔術師の名門貴族、ヴァリエスタ家の出身で稀代の天才と称された。

一夜にして山を築き、川を氾濫させ、竜巻を起こすなど、伝説になるほどの魔力を持っていた。

彼は魔法陣研究に没頭し、貴族の持つ珍しい魔法陣と魔道具、
極秘の魔導書を手にいれるためなら、手段を選ばなかった。

狂気の魔術師・・・と陰でささやかれた。

ブルーノは権力も称賛も興味がなかったので、
魔法陣を入手するために魔術師たちを陥れ、時に恫喝し、
各地でトラブルの種をまいた。

リアララの母親はニンゲンで、
ヴァリエスタ家の使用人だったので、正式な奥方になることはなかった。

魔力を持たないニンゲンは、魔術師にとって家畜と同じだからだ。

しかしブルーノは生涯結婚しなかったので、
リアララがブルーノ・ヴァリアスタの血を受け継ぐ、唯一の息子になる。

「ブルーノの魔力は、恐ろしいほどの威力を持っていた」
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