ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む

「姫君、お久しぶりです」

リアララが会議室の扉のそばに立っていた。

「こんにちは。失礼します」

レスタ姫は、固い表情のまま軽く会釈をして、通り過ぎようとした。

「その花はカモミールと言って、乾燥させてお茶に混ぜると、気持ちが落ち着く作用があります。

ニンゲンたちが、不眠の薬として使っているものですよ」

レスタ姫は立ち止まった。

「俺は魔術師ですが、母親がニンゲンだったので交雑種です。

俺のような交雑種は、ニンゲンの社会にも入れないし、魔術師の社会にも受け入れられないのです」

レスタ姫は何も言わず、手にもっていた花をくるりと回した。

「姫君が、ニンゲンたちの生活向上のために頑張っているので、
応援したい気持ちを持っています」

そう言うと、リアララは軽く会釈をして立ち去った。

レスタ姫は・・・
手のひらに花を乗せたまま、去って行くリアララの背中をしばらく見ていた。
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