ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
逆光の中の男は、深い闇から響くような、よく通った声で言った。

「俺は、魔力も中の下程度の出力しかありません。

父の魔力とは違い、微々たるものです」

リアララは教師に叱られる生徒のように、体を小さくした。

自分のような交雑種、つまり魔術師とニンゲンの間に生まれた者は、
この世界でニンゲンより上だが、
魔術師より格下であるのは間違いのない事実だからだ。

「確かに君は、魔力量はそれほどでもないが、魔法陣の修復や調整に長けていると聞く。

特に微細な魔力調整ができる、
修復の第一人者だと評価されている」

俺の事は、調査済みというわけか・・・


リアララは、この男は誰だろうと脳内検索をめぐらしていた。

上位貴族であるのは違いない。

しかもただ者ではない、この威圧の強さ。

「はい。おかげさまで、何とか食うに困らないくらいの仕事はあります」

リアララは無難な受け答えをした。

逆光の男が手を伸ばして窓のカーテンを閉めると、部屋はうす暗くなった。

「まず、そこに座りたまえ。
それと・・・もう一度、結界を張りなおすから」

それを聞いて、リアララは額にしわを寄せた。
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