ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
結界は張った者にしか解けない。

もし解くとしたら、より強い魔力で破壊するしかないのだ。

ここまで慎重になるとは、よほどの機密なのか?

男は素早く光り輝く五芒星を人差し指でつくり、天井に放り投げるようにした。

天井に当たった図形は溶けるように大きく広がり、壁沿いに厚い膜になり垂れ下がった。

「君は、ブルーノとあまり似ていないな・・・でも、その目はヴァリエスタのものだ」

そう言って、男はフードを払い落とすと、素顔が露わになった。

ひゅっ・・・
リアララは息を飲んだ。

深紅のライオンのような髪と、射すくめるような力を持つピジョンブラッドのルビーの瞳。

A国の国王、その人ではないか!!

「私は・・・今は民間ギルドの仕事ばかりで、貴族とのかかわりは一切ありません」

しどろもどろに答えるリアララを見て、王は乱れた髪をかき上げてほほ笑んだ。

「名門ヴァリエスタ家の本筋なのに、ブルーノはニンゲンのオンナに子どもを産ませた。
それゆえ君は嫡男として認められず、家を継げなかった」

「私は・・・ヴァリエスタを名乗ってはいません」

リアララは肩をすくめ、弁解した。

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