ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む

レスタ姫、リアララに頼る

あれから1週間たった。

リアララは、ザイラス工房に入り浸って、
レスタ姫の情報を取ろうと職人たちに声をかけていた。

「王宮のことなんて、下っ端の俺らごときにはわからんよ」

誰にも相手にされないので、所在なさげに工房の裏口に座っていると

「リアララさん、あんたにお客だよ。
ボーンウッド子爵の御子息の乳母だっていう人が来ているけど」

下働きの少年が、声をかけて来た。

こどもの魔法陣鑑定を頼まれ、
前に、屋敷まで行ったことがある。

何かトラブルがあったのか?

「わかった。俺の仕事部屋のほうで話を聞くから、案内を頼む」

そう言って、少年にチップのコインを投げた。

リアララは、フリーランスの鑑定魔術師だが、この仕事は秘密厳守の契約がほとんどだ。

そのためザイラス工房では、キャリアのある鑑定・修復師には個別の部屋を提供していた。

ドアを開けると、部屋の隅に地味な装いの年配の女と、レスタ姫が立っていた。

姫のほうが軽く頭を下げたので、
リアララは、平静を装い挨拶をした。

「そろそろ、いらっしゃる頃ではないかと思っておりました」
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