ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む

リアララ、レスタ姫に提案する・その1

「一番簡単なのは、姫の手と足の斑紋から、俺の魔力を少しずつ入れて、ヴァリエスタの魔法陣にアプローチをする。

そうしたら、魔法陣の一部を固定して動きを止める。

そこが止まれば、王家の赤と黒のドラゴンも動かないはずです」

「その後は・・・?」

レスタ姫が不安げな声をもらした。
当然だろう。

「姫の意志で自由に魔法陣が動かせるよう、
何らかの訓練を、することになると思いますが、簡単な作業ではないです」

魔力は、自分の感覚とイメージを
統合して出すもので、理屈ではない。

大人になってから、絶対音感を会得するのが難しいのと同じで、感覚の世界なのだ。

ましてや、王宮の上級魔術師だって
こんな複雑でデカい、種類の違う
魔法陣を一度に動かすのは、至難の業だ。

どんどん顔が暗くなっていくレスタ姫を見て、
リアララは、気分を変えようと思った。

「腹が減ったな・・・何か食べる物を・・・」

そう言うと、かごの中をあさって、
いくつかの包みを取り出した。

「スモークチキンサンド、アップルクランブルケーキ・・・」

緊張を緩めるには、うまいものを食うのが一番だ。

リアララは、手早くケーキをナイフで切り分けた。
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