ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む

リアララ、グリサリオの館に文句をつけに行く


グリサリオの館は、郊外にある瀟洒な洋館であり、広い庭には所々に東屋がある。

シェフとソムリエを雇っており、
娼館というより一流ホテルのしつらえで、貴族たちの隠れた息抜きの場所になっていた。

「お待ちください!!リアララ様、マダムは今、打ち合わせ中でして」

引き留めようとする黒服の従業員を無視して、大股でずんずん廊下を進んでいく。

と、応接室から美しく着飾ったニンゲンの娘が、お辞儀をして出てくるところだった。

それと入れ違いにリアララは、強引に室内に入った。

「マダム、これを返す!」

リアララはそう言うと、ローテーブルの上にドンっと籐のバスケットを置いた。

「まぁ、リアララ様・・・それって?」

マダム・グリサリオは羽のついている扇の先で、バスケットを指した。

余裕と若干の好奇心の視線が混じって、リアララを見た。

昔は美人だったのだろうが、目じりの小じわとマリオネットラインは年相応。

傾きかけた老舗娼館を再建した事で、有名な交雑種出身の経営者だ。

「何かご事情がおありなのね。
それで、お使いになったの?」

マダムはきれいに彩られた唇を扇を広げて隠したが、
その目はウズウズとしており、事の顛末を聞きたがっている。

「未使用だ」

「まぁ・・・それは残念でしたね」

マダムはフフフと笑いながら、
グラスに酒をついだ。

「彼女に酒を飲ませただろう!!
ウォッカベースの強いやつを」
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