僕の愛しい泥棒娘

ダミアサール公爵家の災難

アウスレッドは今夜もワイナリー公爵家の裏
門の辺りを見張っていた。

今夜でもう7日になる。
今は真夜中を過ぎた1時だ。
流石に使用人も寝静まっているだろう。

後は警備の騎士が巡回に来る時間の間隔が
問題なのだ。この7日間決まった時間や
間隔では巡回していない。

流石ワイナリー公爵家だ。警備が徹底してい
る。でもきっと決まりがあるはずだ。

曜日によって時間設定を設けているかもしれ
ないので来週もう1週間偵察をするつもりな
のだ。

警備を搔い潜って侵入しさえすれば邸見内の
取り図は用意があるし、盗まれたテイアラは
大体どこに保管してあるかは見当がつく。

だが、これは自分一人でやらなければならな
い、部下も親友の騎士団副団長のジョナリオ
も巻き込めない。

見つかればそれでアウスレッドの実家のダミ
アサール公爵家はお終いだ。

未だ10代の弟と妹もいる。嫡男として公爵家
を守らなければならない。

両親はのほほんとして父親は特に今の国王の
兄にあたるのだが、母親と結婚する為に王位
継承権を手放すほど母を溺愛している。

政には一切興味が無いにも関わらず、その地
位だけでワイナリー公爵家の当主のガラワリ
ア公爵は父を目の敵にしている。

ガラワリア公爵は野心家で今の皇太后の実家
である事をいつもひけらかしている。

現国王に王子が居ない事を理由に自分の
嫡男を王太子にしようと企らんでいるの
ではとアウスレッドは考えていた。
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