僕の愛しい泥棒娘

14日後に第２王女の成人の儀がありそこで
王女がテイアラを着用するのだ。

それまでに取り返さなければ、ダミアサール
公爵家は責任を取らされてよくても爵位の降
下か公爵位剥奪の上お家断絶になるかも知
れない。

のんきな父親は“盗人に獲られた”と言ってま
た違うテイアラを作って返せばいいんだよ。
なんて言っているがワイナリー公爵家がそん
な生ぬるい事で済ますはずがない。

当家を潰すためにテイアラを盗んだのだから
国外追放位は狙っているだろう。

アウスレッドは１８歳で王立学園の最高府を
首席で卒業し３年たった今は宰相の筆頭補佐
官を務めている。

アウスレッドは現在の所王位継承権第1位で
ワイナリー家の嫡男のボラリスが第2位なの
だ。

国王には3人の王女がいるが王子がいない。
この国の法律では男子のみに王位継承権が
認められている。

王位継承権なんか一刻も早く放棄したいのだ
がそうすればワイナリー家の思う壺だ。

今王妃様は妊娠６ケ月頃になると思う。
王子が生まれることを切に願うばかりだ。

アウスレッドは若干２１歳で筆頭補佐官だと
言うのは異例の抜擢だと自分でもよく分かっ
ている。

国王も宰相もアウスレッドを可愛がってまた
頼りにしてくれるのだ。だから敵も多い。

それも十分わかっているアウスレッドは、
用心に用心を重ねて仕事をしていた。

王宮に自分の部屋を貰って、ほとんど実家に
は帰っていなかった。

まさか実家に忍び込んで家宝のテイアラを盗
まれるなんて思ってもいなかった。

朝早く実家から家令のベンがやって来て事の
次第を知らされたのだ。