僕の愛しい泥棒娘
そう言ってメアリーヌ様はケラケラと笑った
長い話で疲れたわと言って水を一杯欲しいと
言ったので丁度作ってあった甘いレモン水を
差し出した。

メアリーヌ様は美味しいと言って一気に飲み
干した。

「隣国にはいかれたんですか?」

「バックに必要なものをつめて、玄関の扉を
開けたら目の前にあの人が立っていたの。
もうびっくりしたわ“何してるの“って思わず
聞いたら、”君こそ何してるの“って言われて
何も言えなかった。それでもう万事休すよ。
そして、貧乏男爵家のメアリーヌ・アズナー
ルとして結婚して3人の子供に恵まれて、今
は幸せよ。あなたに一つだけ忠告するなら、
ダミアサール家の男の一途な恋心は、それは
もう重いのよ。生半可な気持ちでは逃げ切れ
ないわよ。アウスレッドは“ユミアが貴族の
養女になるのが嫌なら、僕が平民になればい
いだけだから”なんて昨日言ってたわ。
すぐにでもダミアサール家から籍を抜いて、
ただのアウスレッドになるつもりよ。」

「ええっ、それはだめです。お願いですから
メアリーヌ様が止めて下さいね」

「あら、私はどちらでもいいのよ。ダミアサ
ール家はシムソニオが継げばいいんだから、
困るのは宰相と国王よね。アウスレッドを次
期宰相にして第一王子の後見にしたいんだか
ら、でもそんな事知らないわよ。人に頼らず
にきちんと第一王子を育て上げればいいんだ
もの。アウスレッドに頼られてもね。だから
あなたたちはしっかりと話し合って二人とも
後悔しない選択をしてね。私みたいに隣国に
黙って逃げ出したりしてはだめよ。
私と違ってユミアは逃げ出した先でも立派に
やっていくだろうから余計に心配よ。アウス
レッドがよっぽど魅力的でないとね。」
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