いつか、桜の季節に 出逢えたら
第9話 1月13日 実力テスト
学校に通い始めて数日が経った。
授業開始のチャイムが鳴り、課題のプリントを終わらせると、先生と雑談をしたり、他クラスの授業風景を見たり、屋上から体育の様子を見たりと、自由にさせてもらっている。
今は、紫苑のクラスが体育でサッカーをしている。
家ではずっと部屋に籠っているからインドア派なのかと思っていたけど、運動もできるらしい。
遠くで見ている女子たちから、黄色い声が上がる。
あれからも、莉々からしょっちゅうLIMEが届く。
相変わらず、紫苑との仲を取り持ってほしいというものだが、あれだけ可愛くて積極的なら、私のサポートなんていらないだろうにーー。
記憶喪失のせいにして「ごめんなさい」を繰り返すことにしている。
時折、強い風が吹き抜ける。
真冬の空の下では、防寒着をしっかり着込んでも寒すぎる。
衣類では防ぎきれない寒気が、棘のように肌を刺す。
長居は無用。そろそろ保健室に戻ろう。
「ただいま戻りました」
保健室の引き戸を開けると、クラス担任がいた。
若いけれど熱心で、気さくな雰囲気もあって、生徒からの人気は高い。
こういう先生がいると学校も楽しくなるだろうな、と思わせる雰囲気。
「おかえり、橘さん。事情が事情だから、希望すれば免除されると思うけど、一応、確認するね? 来週、実力テストがあります。内申や成績に影響はないけど、どうする? やめておこうか?」
「もちろん受けます。自分の実力を知りたいです」
私は勉強が苦手ではないので、テストは楽しみなのだ。
「えっ……そう? てっきり、やめておくと言うのかと思ってた。ごめんね。橘さんがやる気になってくれて、先生、嬉しいよ」
私の返答が想定外だったのか、担任は驚きを隠せていない。
ーーそんなに驚くことなの?
担任の想定外の反応に戸惑ったが、気を取り直して返事をした。
「はい、頑張ります」
授業開始のチャイムが鳴り、課題のプリントを終わらせると、先生と雑談をしたり、他クラスの授業風景を見たり、屋上から体育の様子を見たりと、自由にさせてもらっている。
今は、紫苑のクラスが体育でサッカーをしている。
家ではずっと部屋に籠っているからインドア派なのかと思っていたけど、運動もできるらしい。
遠くで見ている女子たちから、黄色い声が上がる。
あれからも、莉々からしょっちゅうLIMEが届く。
相変わらず、紫苑との仲を取り持ってほしいというものだが、あれだけ可愛くて積極的なら、私のサポートなんていらないだろうにーー。
記憶喪失のせいにして「ごめんなさい」を繰り返すことにしている。
時折、強い風が吹き抜ける。
真冬の空の下では、防寒着をしっかり着込んでも寒すぎる。
衣類では防ぎきれない寒気が、棘のように肌を刺す。
長居は無用。そろそろ保健室に戻ろう。
「ただいま戻りました」
保健室の引き戸を開けると、クラス担任がいた。
若いけれど熱心で、気さくな雰囲気もあって、生徒からの人気は高い。
こういう先生がいると学校も楽しくなるだろうな、と思わせる雰囲気。
「おかえり、橘さん。事情が事情だから、希望すれば免除されると思うけど、一応、確認するね? 来週、実力テストがあります。内申や成績に影響はないけど、どうする? やめておこうか?」
「もちろん受けます。自分の実力を知りたいです」
私は勉強が苦手ではないので、テストは楽しみなのだ。
「えっ……そう? てっきり、やめておくと言うのかと思ってた。ごめんね。橘さんがやる気になってくれて、先生、嬉しいよ」
私の返答が想定外だったのか、担任は驚きを隠せていない。
ーーそんなに驚くことなの?
担任の想定外の反応に戸惑ったが、気を取り直して返事をした。
「はい、頑張ります」