召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
当然といえば当然なのだが、その場にいたほぼ全員の視線が私に注がれる。緊迫した状況を壊したのだ。それなりの覚悟はあったものの、いざその状況に、私は思わずグリフィスの腕をギュッと掴んだ。
「盗んだタロットカードを返して!」
「元来これは、我々の手にあるべき物だった。それなのに、なぜか別のところにあるし、占いに使われていると知って、どれほど驚いたことか」
返してと言って、返してくれるとは、そもそも思っていない。だけど、いくらなんでもこっちを盗人呼ばわりしてくるなんて……。
一週間とはいえ、共に調べ物をした仲だったからかもしれない。恐怖心が一気に怒りへと変わった。
「勝手に自分たちの物だって決めつけないで! 本来あるべき場所だというのなら、グリフィスの元にあるのが筋でしょう!」
「グリフィス? まさかそこにいるのは、グリフィス・ハウエルだとでもいうのか!?」
「そうだけど、何が?」
マックスの驚き様が理解できない。私の旦那様がグリフィスであることを、ヘルガや相談所を手伝ってくれた男性職員は勿論のこと、普段、図書館の禁書区画に籠っているラモーナだって知っているのだ。
けれどマックスに答えを求めるべきではない、と思った私は、真横を見上げた。
「盗んだタロットカードを返して!」
「元来これは、我々の手にあるべき物だった。それなのに、なぜか別のところにあるし、占いに使われていると知って、どれほど驚いたことか」
返してと言って、返してくれるとは、そもそも思っていない。だけど、いくらなんでもこっちを盗人呼ばわりしてくるなんて……。
一週間とはいえ、共に調べ物をした仲だったからかもしれない。恐怖心が一気に怒りへと変わった。
「勝手に自分たちの物だって決めつけないで! 本来あるべき場所だというのなら、グリフィスの元にあるのが筋でしょう!」
「グリフィス? まさかそこにいるのは、グリフィス・ハウエルだとでもいうのか!?」
「そうだけど、何が?」
マックスの驚き様が理解できない。私の旦那様がグリフィスであることを、ヘルガや相談所を手伝ってくれた男性職員は勿論のこと、普段、図書館の禁書区画に籠っているラモーナだって知っているのだ。
けれどマックスに答えを求めるべきではない、と思った私は、真横を見上げた。