元文化部と元運動部の深夜ウォーキング
「パイナップル味美味しい?」

「うん、サッパリしてて美味しいよ。いちごは?」

「アイス界で結構上位に入るぐらい上手い」

「めっちゃ美味しいんじゃん」

普通にそう言っただけなのに、笠木くんは「一口いる?」と私にいちご味のアイスを差し出した。

なのに、すぐに引っ込めてしまう。

「ごめん、周し食べ嫌だよな」

笠木くんは冗談めかして「しかも俺の食べかけだし」と付け足した。

笠木くんは上手に空気を悪くしない人だと思う。

きっと今も私が一瞬固まってのを見て、自分の食べかけが嫌だと思ったのだろう。
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