元文化部と元運動部の深夜ウォーキング
「りんご!」

「もう正解見ているじゃん。後出しは駄目。じゃあ、長谷川さんが罰ゲームね」

「罰ゲームあるの!?」

「うん、今作った」

私が「今作るのはズルじゃん!」とか「そんなの聞いてないー!」と反抗していると、笠木くんは何故か前方を指差した。笠木くんの指につられるように私の視線は前方に移っていく。

「罰ゲームはこれ」

笠木くんが指差したのは、今から渡ろうとしている橋の看板だった。

「この橋って何かあるの?」

「ううん、橋じゃなくてこの川。一緒に水切りしてよ」

「水切り!? したことないよ!?」

「まじ? どんな学生時代を過ごしてたの? ああ、美術部は水切りしないのか」

「なんでいま全国の美術部を敵に回したの!?」

笠木くんはもう川辺に降りていて、平べったい水切りに適した石を探している。
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