きみと、まるはだかの恋
「あれ、今日も一緒なんですか?」

 そろそろ外へ行こうかと昴が提案したところで、後ろから声をかけられた。このきゃぴきゃぴと明るい声は、星田さんだ。

「ああ、お疲れ。実はしばらく星見里に滞在することになったから、連れてきたんだ」

「滞在?」

 星田さんの眉がぴくりと持ち上がる。私は、なんだか気まずくなって曖昧に「はい、そうなんです」と頷いた。

「えーすごい! こんな田舎に、よく暮らそうと思いましたね〜」

 何の皮肉でもなく、純粋に目を丸くして驚いている様子だった。

「それを言うなら俺たちみんな移住者はそうなるだろ。俺も星田も同じだろ」

「いやまあそうですけど〜。私の場合は、祖父母の実家なのでもともと馴染みがあったんですよ。その点城山さんもそっちの方も、物好きですよね」

「あ、海野です」

「失礼しました。海野さんも、城山さんも変わってますね」

 ふふ、と可愛らしい笑みをこぼして、彼女が「さ、仕事しますかー」と外へと繰り出していく。昴は頭の後ろをぽりぽりと掻きながら、「ごめん、星田はああいうやつなんだよ」となぜか私に謝ってきた。

「別に、何とも思ってないよ。そりゃ都会からここまでの田舎に引っ越してくるなんて普通は物好きでしょ」

「ははっ、まあそうだな。でもまあ、俺は波奈が星見里の魅力に気づいてくれたら嬉しいな、なんて」
 
 昴がけろりと笑う。その笑顔が、やっぱり少年のように純粋で胸がどきりと鳴った。
 もう、どうして私……昴の一言一句にこうも胸が動かされてしまうのだろうか。

「じゃあ、俺たちも行こうか。今日も波奈のこと、最高の星空ツアーに案内してやるよ」

 勇ましい一言に、これまた心臓がとくんと跳ねた。

「何その言い方。期待しちゃうよ?」

 私もいたずらっ子のように笑って返してみせる。昴の頬が綻ぶのを見て、ずっとこの笑顔を見ていたい——そう思ってしまった。

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