きみと、まるはだかの恋
「私って肌荒れひどい……?」

 思わずスマホのカメラを起動して、セルフカメラモードに画面を反転させる。化粧をしているから多少誤魔化せてはいるが、確かによく見たら肌にくすみやクマが見られた。
 スマホを片手に落ち込む私を見て、昴は呆れた様子でため息を吐いた。
 分かってるよ、昴が言いたいことぐらい。
 いちいち気にするなって思ってるんでしょ。SNSでの評判なんて千差万別。全部の意見に反応してたら精神衛生上良くないって。知ってるよ。でも気になるじゃん。昴は、自分の噂話をしているひとの声が気にならないの?
 まだ昴が何か言ったわけでもないのに、心の中で彼と喧嘩をしている気分になる。

「昴」

 彼の名を呼ぶと、床に座り込んでいた昴は「ん?」と立ち上がった。

「Wi-Fiのこと教えてくれなかったのってわざと?」

 きっと、今昴に見えている私の顔はひどく情けない顔だろう。肌は荒れているし、不安で表情がこわばっているのが自分でもよく分かった。
 昴は、頭を掻きながら「そうだな」とため息混じりに答える。

「Wi-Fiのこと伝えたら波奈、またずっとスマホに依存するんじゃないかって思って」

「……」

 呆れを通り越して、胸がむずむずと痛痒い心地にさせられた。
 昴のことをひどいやつだと思ったのは間違いないが、同時に昴の言う通り、Wi-Fiの存在を知ったら自分がデジタルに依存することは目に見えていた。だから昴のことを責められない。
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