きみと、まるはだかの恋
「ハナさん?」
テレビ局のひとが私の顔を覗き込む。近い。何か言わななければと、思うのに、喉が塞がってしまったみたいに声が出てこない。
「ハナさん一緒に写真撮ってくださいー!」
「僕のYouTubeに一緒に出てくれませんか?」
自分で星見里に滞在していると発信したのは間違いない。でも、許可もなくカシャカシャと写真を撮られるのは本望じゃなかった。
私をコンテンツ化しようとするひとたちの目がぎらぎらと光っているように感じられて、恐怖が身体を覆い尽くす。あれ、私、どうしてだろう? これまで自分を魅せる仕事をしてきたはずなのに、こんなことで怖いと感じてしまうなんて。
助けて、と掠れた声が口から漏れた。そばにいたひとたちは「ん?」と私の言葉を聞き取っていない様子だった。
動悸がして汗が止まらなくなったとき、「波奈」と私を呼ぶ声がすぐそばで聞こえた。「ハナ」も「波奈」も耳で聞いたら同じ名前のはずなのに、その声は——昴の声だけは生身の私を呼んでいるのだと分かって、すぐに反応できた。
「昴」
私は咄嗟に彼の名前を呼んだ。男性の名前を口にしたことで、野次馬たちが一斉に昴のほうを振り返る。やってしまった、と思った。以前、SNSで出会った男性と一緒に歩いているところを女子高生にパパラッチされたことを思い出して胸が軋んだ。
昴、早く逃げて——。
頭ではそう思うのに、心では「そばにいてほしい」と身勝手なことを願っている自分がいた。
テレビ局のひとが私の顔を覗き込む。近い。何か言わななければと、思うのに、喉が塞がってしまったみたいに声が出てこない。
「ハナさん一緒に写真撮ってくださいー!」
「僕のYouTubeに一緒に出てくれませんか?」
自分で星見里に滞在していると発信したのは間違いない。でも、許可もなくカシャカシャと写真を撮られるのは本望じゃなかった。
私をコンテンツ化しようとするひとたちの目がぎらぎらと光っているように感じられて、恐怖が身体を覆い尽くす。あれ、私、どうしてだろう? これまで自分を魅せる仕事をしてきたはずなのに、こんなことで怖いと感じてしまうなんて。
助けて、と掠れた声が口から漏れた。そばにいたひとたちは「ん?」と私の言葉を聞き取っていない様子だった。
動悸がして汗が止まらなくなったとき、「波奈」と私を呼ぶ声がすぐそばで聞こえた。「ハナ」も「波奈」も耳で聞いたら同じ名前のはずなのに、その声は——昴の声だけは生身の私を呼んでいるのだと分かって、すぐに反応できた。
「昴」
私は咄嗟に彼の名前を呼んだ。男性の名前を口にしたことで、野次馬たちが一斉に昴のほうを振り返る。やってしまった、と思った。以前、SNSで出会った男性と一緒に歩いているところを女子高生にパパラッチされたことを思い出して胸が軋んだ。
昴、早く逃げて——。
頭ではそう思うのに、心では「そばにいてほしい」と身勝手なことを願っている自分がいた。