きみと、まるはだかの恋
「ねえ、もっとくっついてもいい?」
夜眠るとき、普段ならそれぞれの部屋で布団に入るのだが、今日は私が昴の部屋の布団に一緒に入っていた。誰かと同じ布団に入るのはたぶん、小学生ぶりだろう。狭い掛け布団の中で昴と密着するのはこそばゆい思いだった。昨日まで友達だった人が、今日から恋人なのだ。それにただの恋人じゃない。十年前の初恋の人が、私の隣で横になっている——。この状況で緊張するなと言われるほうが酷だ。
「もちろん。こっちおいで」
恋人になった昴は思っていた以上の包容力で私を包み込んでくれた。私の頭を腕枕してくれて、彼の体温を身近に感じる。全身が密着しそうな勢いでくっついていると、自然とこれまで感じていた自分の人生に関する不安がするりとほどけていくような心地がした。
ああ、大丈夫だ。
昴と一緒ならきっと大丈夫。
まだ何も具体的なことなんて決まっていないのに、ただ隣にいるだけで安心をくれる。星見里の夜空にいつも星が瞬いているように、昴ならずっと私の近くにいてくれる気がした。
昴が私の顔に自分の顔を近づけて、甘い口付けをする。
以前、私のほうから眠っている昴にキスしてしまったことがあったけれど、その時以上に胸が喜びで満たされた。
たっぷりと時間をかけて、お互いの唇の温度を確かめ合う。恥ずかしいことこの上ないのに、離れたくないという気持ちが湧き上がっていた。
「……もう、急にびっくりした」
あえて文句を垂れるのも、照れ隠しだ。
「急じゃないよ。でもごめん。波奈がすぐ隣にいると思うと、居ても立ってもいられなくなった」
「その気持ち、私も同じ」
もう一度、唇を重ね合わせる。
今度はより深く、濃密な時間だった。
昴がこんなふうに自分を愛してくれる日がくるなんて。高校時代、昴が後輩と付き合い出した頃は思ってもみなかった。あの日、諦めて手放してしまったはずの恋が、もう一度赤く燃え上がって、私の心ごと覆い尽くそうとしている。
「昴、好きだよ」
夜半の二人の時間が、ゆっくりと溶けていった。
夜眠るとき、普段ならそれぞれの部屋で布団に入るのだが、今日は私が昴の部屋の布団に一緒に入っていた。誰かと同じ布団に入るのはたぶん、小学生ぶりだろう。狭い掛け布団の中で昴と密着するのはこそばゆい思いだった。昨日まで友達だった人が、今日から恋人なのだ。それにただの恋人じゃない。十年前の初恋の人が、私の隣で横になっている——。この状況で緊張するなと言われるほうが酷だ。
「もちろん。こっちおいで」
恋人になった昴は思っていた以上の包容力で私を包み込んでくれた。私の頭を腕枕してくれて、彼の体温を身近に感じる。全身が密着しそうな勢いでくっついていると、自然とこれまで感じていた自分の人生に関する不安がするりとほどけていくような心地がした。
ああ、大丈夫だ。
昴と一緒ならきっと大丈夫。
まだ何も具体的なことなんて決まっていないのに、ただ隣にいるだけで安心をくれる。星見里の夜空にいつも星が瞬いているように、昴ならずっと私の近くにいてくれる気がした。
昴が私の顔に自分の顔を近づけて、甘い口付けをする。
以前、私のほうから眠っている昴にキスしてしまったことがあったけれど、その時以上に胸が喜びで満たされた。
たっぷりと時間をかけて、お互いの唇の温度を確かめ合う。恥ずかしいことこの上ないのに、離れたくないという気持ちが湧き上がっていた。
「……もう、急にびっくりした」
あえて文句を垂れるのも、照れ隠しだ。
「急じゃないよ。でもごめん。波奈がすぐ隣にいると思うと、居ても立ってもいられなくなった」
「その気持ち、私も同じ」
もう一度、唇を重ね合わせる。
今度はより深く、濃密な時間だった。
昴がこんなふうに自分を愛してくれる日がくるなんて。高校時代、昴が後輩と付き合い出した頃は思ってもみなかった。あの日、諦めて手放してしまったはずの恋が、もう一度赤く燃え上がって、私の心ごと覆い尽くそうとしている。
「昴、好きだよ」
夜半の二人の時間が、ゆっくりと溶けていった。