きみと、まるはだかの恋

第六章 霧が晴れたあとで

 翌日から、昴と一緒にカフェをつくるための計画が始まった。
 コンセプトは昨日昴が教えてくれた通り、“デジタルとリアルをつなぐ場”。さらに、星見里の良さを知ってもらいたいということから、“星見里の自然を味わえる、デジタルとリアルをつなぐカフェ”ということになった。
 食材は主に星見里で育てたものを使う。私が以前訪れた地産地消の食堂と同じような店にはなると思うが、飲食業を盛り上げるためにも、星見里の魅力を伝えるためにも、地産地消が最適だと判断した。

「仕入れはどうする? 一番の問題だよね」

 農作業が一通り済んだ十五時、『喫茶きこり』でノートを広げてコーヒーを啜りながら、カフェの構想を練っていた。
 店主の三上さんが「あら、二人揃って来てくれたの?」と嬉しそうに微笑む。その目が、やっぱり私たちの関係を勘繰っているようでドキリとしたけれど、昨日から私たちは恋人同士。どう勘ぐられてもまあいいか、という気持ちになっていた。

「一番現実的なのは直売所で仕入れることだな。もちろん、自分のところで作った農作物も使う。あとは、他の農家さんをお手伝いして物々交換してもらうとか。善意で分けてくれるひともいるかもしれないけど、そこはちゃんと等価交換したい」

 昴が思った以上に具体的な案を考えているのだなと分かり、感心する。それだけアイデアがあれば仕入れも困らないかも……と商売に疎い私は勝手に納得していた。
 とそこへ、ホットケーキを運んできた三上さんが、「あの」と口を挟む。
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