きみと、まるはだかの恋
「盛り上がってるところごめんなさいね。二人、何か楽しそうな計画立ててるのね?」

「え? ああ、聞いてました?」

「もちろん。他にお客さんもいないからねえ。田舎の娯楽なんて他人の噂話がほとんどだから。で、カフェをやるとかなんとか言ってなかった?」

 きらりとした視線を私たちに向ける三上さんは、完全に文化祭か何かを楽しんでいる時の学生と同じだ。

「はい、そうなんです。実は波——海野さんと二人で地産地消カフェを始めようと思っていて。“デジタルとリアルをつなぐ”っていうコンセプトで、星見里の魅力をもっとたくさんのひとに知ってもらえたらいいなって」

「ふふん、なるほどぉ」

 楽しげに唇の端っこを持ち上げる三上さんはもう、私たちのアイデアに乗ったと言わんばかりの勢いだ。

「それで仕入れ先がどうとかの話をしていたのね」

「そうです。一番大事な部分かなって」

「それならさ、昴くん。ちょっと前に地域おこし協力隊が発足したって話は聞いてない?」

「地域おこし協力隊? なんですかそれ」

 昴と一緒に私の首をかしげる。名前からしてなんとなく、何をするひとたちなのかは理解できるけれど、そんな団体が発足していたなんて、知らなかった。
< 134 / 186 >

この作品をシェア

pagetop