きみと、まるはだかの恋
「まだ回覧板で回ってきてないようね。長らく自治体が募集してたんだけど、数日前にようやく発足したようよ。たぶんまだ人員募集していたんじゃないかしら?」

「人員募集……それなら俺も入りたいな」

 昴が、迷いのない口調でつぶやく。地域おこし協力隊ということは、おそらく星見里の魅力を発信することが大事な仕事になってくるはずだ。このチャンスをものにするにはちょうど良いと思うのも理解できた。

「村長に話してみて。昴くんならきっと良いPRをしてくれるって信じられるわ。協力隊の力で、食材も供給してもらえるんじゃないかしら」

 三上さんの言わんとしていることが分かり、私もなるほど、と合点がいく。協力隊と私たちの利害が一致すれば、良いことずくめな気がする。

「あとは本当に、農家さんと仲良くして仕入れルートを作るのが一番ね! うちの店でも食材を提供してもらっている農家さんが結構いるから、掛け合ってみるわね」

「そこまでしていただいて、いいんですか?」

 今日、たまたま『喫茶きこり』で私たちがカフェの計画を話していただけなのに、三上さんにお世話になるのはなにかと忍びない。
 申し訳ない気持ちとありがたい気持ちが半分ぐらいで、そっと三上さんを見つめると、彼女はにっこりと笑って「もちろんよ!」と快く返事をしてくれた。

< 135 / 186 >

この作品をシェア

pagetop