きみと、まるはだかの恋
「夏休みの自由工作でプラネタリウムをつくったの。でも、星見高原で見れる本物の星みたいな、もっと大きいのが見たくて……」

 もじもじと身体を捩らせながら、子どもらしい願いを口にする紬ちゃん。
 三上さんが「ちょっと紬、二人のお店に口出ししないの」と紬ちゃんの意見を制した。
 が、昴は逆に身を乗り出して、「プラネタリムか」と紬ちゃんに向かって意味深につぶやく。

「確かにありかもしれない」

「カフェにプラネタリム? 面白そうじゃん」

 私も昴も考えもしなかったアイデアだが、星見里の一番のアピールポイントといえば星空だ。その星空をカフェのコンセプトに加えるというのは、独創的で面白いなと私も唸らされた。

「え、ちょっと、そんな感じで決めちゃって大丈夫なの? 今の紬の発言は適当だから、聞き流していいのよ〜」

 三上さんが慌てて「やだぁ」と手をひらひらとさせるが、私も昴も真剣だった。

「いえ、いいと思います。実際プラネタリウムのあるカフェやBarは東京にありますし。星見里の魅力の一つを、プラネタリウムで再現するのってすごく面白いです。簡単なものならDIYでもできるって聞くし、本格的なものにしたければ工務店と相談すればいいと思う」

 昴の具体的な話を聞いた三上さんは「まあ」と目を丸くしつつも、娘さんの意見が採用されたことを嬉しく思っている様子だった。

< 139 / 186 >

この作品をシェア

pagetop