きみと、まるはだかの恋
「はあーっ! なんだかこっちが拍子抜けするほどあっさり進んでいくね」

「星見里のひとはみんな、人がいいからね。なんだかんだ、この村の経済を活性化させようとする俺たちの活動に希望を持ってくれているんだよ」

「そうね。スケジュールも決まったし、あとはまっすぐ突き進むのみ!」

 私がグーパンチを突き出して見せると、昴は「その件なんだけどさ」とどこか言いにくそうに切り出した。

「カフェの準備期間が全部で五ヶ月ぐらいあるだろ。その間波奈、自分の仕事はどうする? さすがにずっとこっちにいてもらうのも忍びないと思って」

 カフェの開業を手伝ってほしいとお願いしてきたのは昴のほうだったが、いざ計画を立てると私の仕事のことを気にしてくれているらしい。ちょっと前まではお互いの仕事について分かり合えないと思っていたことが嘘のようだ。

「それなら大丈夫。十一月からは二拠点生活しようと思ってたし」

「二拠点生活? 東京と星見里で?」

 昴は分かりやすく目を丸くした。

「そう。だめ?」

「いや、だめじゃないけど。金銭的にも体力的にも大丈夫かなって。もちろん交通費は俺が出すけど」

「ノンノンノン! お金なら大丈夫! そのためにこれまで稼いできたんだから。昴のそばにできるだけ長く一緒にいたいし、だけど東京での仕事も頑張りたいの」
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