きみと、まるはだかの恋
 知らない話だったので純粋に驚く。これから会う約束をしているひと? 今日は工務店に話をしに行って終わりだと思っていた。

「ああ、俺の東京時代の元同期なんだけどさ。フリーで建築事務所を立ち上げて頑張ってる。一級建築士の重村豊(しげむらゆたか)ってやつ」

「へ、へえ。そんな知り合いがいたんだ。先に言ってよ」

「悪い悪い。アポが取れたのが昨日でさ、飛んで来てくれることになったんだ。内装のことでいろいろと相談したくて。今日の十六時に、バス停に迎えに行く」

「工務店で『相談したいひとがいる』ってその重村さんのことだったんだね」

「ザッツライト。というわけで、今日はもう少し付き合って」

「望むところです」

 ペロリと舌を出して笑ってみせる。インフルエンサーとしての私ではない、昴の隣にいるまるはだかの自分の心が顔を覗かせていることに、自分でも気づいていなかった。

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