きみと、まるはだかの恋
 夕暮れ時のキラキラとした陽光が好きだ。特に、星見里のそれは東京で見る日の光とは比べ物にならないほど幻想的で美しい。田畑を染め上げる朱も、広々とした夕焼け空も、悠々と空を飛んでいく鳥たちの姿も、すべてがおおらかで満ち足りているように感じられるのだ。
 約束の十六時にバス停で会った重村さんは、昴に向かって「よう!」と軽く片手を上げた。三年も会っていないと聞いていたのが嘘のように自然な再会だった。短髪の髪の毛と、筋肉のついた腕や胸板が印象的で、一級建築士らしい風貌をしているなと率直に思った。

「うおー本当にハナさんじゃん! 本物、すげえ! 初めまして、重村です!」

「初めまして。海野波奈です。いつもうちの昴がお世話になっています」

「ちょ、その挨拶は恥ずかしいからやめて」

 昴がわたわたとツッコミを照れ臭そうにツッコミを入れると、重村さんはニヤリと笑って昴の脇腹を肘で突いた。

「いい嫁だな」

「だから違うって!」

 嫁、と言われてさすがに私も恥ずかしく、頭が沸騰しそうになった。
 しばらく談笑したあと、私たちは昴の家に向かい、ダイニングテーブル席について、カフェの計画について重村さんに話をした。
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