きみと、まるはだかの恋
「ほお、おおよその話は聞いてたけど、まさか本当に城山がカフェをするなんてな〜。会社員時代からいつか自分のお店を持ちたいって語ってたもんな」

「そうだったの?」

 重村さんの発言に、素直に驚く。

「あ、ああ。あの頃は、半分夢みたいな感じで豪語してただけだけど。でもまさか実現させられる日が来るなんて思ってもみなかった」

「へえ。きっと、星見里でいろんなひとたちとのご縁に恵まれたおかげだね」

 ここに至るまで、昴のことを支えてくれたひとたちがたくさんいることに心が温もる想いがした。

「そうだな。そのひとたちに恩返しするためにも、星見里の魅力が伝わるカフェをつくりたい。だから重村、内装デザインについて意見がほしいんだ」

「そうだな。せっかくだから、おしゃれなほうがいいよな? 最近手がけた代官山のカフェの写真を持って来たんだけど、こんな感じで明るくておしゃれな雰囲気にするのはどうかなって」

 そう言って重村さんが鞄から取り出した書類には、代官山のカフェの内装の写真がずらりと並んでいた。明るいベージュの床に、白い壁、ところどころに観葉植物が置かれている。ライトはシャンデリア風の電気がぶら下がっている。

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