きみと、まるはだかの恋
 工事はおおかた、滞りなく進んでいったように思う。
 十一月の星見里の気温はぐっと下がり、迫り来る冬の気配が身体を包み込んだ。工事をしている職人さんたちは額に汗を浮かべているので、工事がどれだけ重労働なのか思い知った。
 十二月に入ると、壁、床の補修や水道、電気工事などもほとんど終わり、プラネタリウム室もできてきた。重村さんと打ち合わせした通り、ウォールナット調の落ち着いた店内が出来上がっていき、私の心もときめいた。

【12/12 ほとんど完成に近づいてきました✨
こうして形になると、なんだかとても胸にくるものがあります。】

 インスタグラムの投稿には、日々コメントが増えていった。

【本当にカフェつくってるんだ】
【おしゃれ! 完成するのが楽しみ〜✨ 行ってみたい】
【ハナちゃんお疲れ様です。来年のGWに行こうと思います^^】

 寄せられた温かいコメントを読んで、みんなが待ってくれているのだと希望が持てた。

 職人さんたちも余裕が生まれてきたのか、時折現場では「はっはっは」という笑い声が響く。ただ私は、なにか一つ、工事で忘れていることがあるような気がして、不安になって昴に聞いた。

「ねえ、工事ってもうほとんど完成に近づいてるのよね?」

「そうだと思うよ」

「あの……Wi-Fiの工事って終わってるんだよね?」
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