きみと、まるはだかの恋
「思いついたかも」

「店名?」

「そう。私たちにぴったりの名前」

「おお、なんだ?」

 好奇心に満ちた恋人のまなざしを感じながら、私は大きく深呼吸をする。そして、心の中でその考えついた店名を三回唱えてから、ゆっくりとその名を告げた。

「『Dining Café 花と星』」

 実際に口にしてみると思っていた以上に口に馴染む名前だった。昴は、瞳をぱちぱちと瞬かせたあと、にっこりと口角を上げた。

「いいじゃん。波奈が“花”で俺が“星”ってことね。自然な感じも伝わるし、プラネタリウムがあることも表現できてるし、本当にぴったりだ」

 昴もお気に召してくれたようで心の底からほっとした。
 店名が決まり、肩の荷が一つ降りたところで、昴が早速コーヒーを淹れてくれた。コーヒーの淹れ方は三上さんからきっちり指導を受けている。その他、飲食店を経営するにあたって必要な資格の取得も行政への届出も、全部二人で頑張ってきた。
< 174 / 186 >

この作品をシェア

pagetop